
健康診断の結果票を見て、たくさんの数値に戸惑った経験はありませんか。実は、見るべきポイントは多くありません。本記事ではまず「どこを・どう見ればいいか」を結論からお伝えし、続いて主要項目の基準値の目安と、数値が気になったときの考え方をくわしく整理します。
範囲に入っているか
経年変化で見る
複数項目で傾向を
特に大切なのは、1つの数値だけで一喜一憂しないこと。基準値内でも前年から大きく動いた項目は、体の変化のサインかもしれません。
主要項目の基準値 早見表
まず押さえておきたい代表的な項目と、基準値の「目安」を一覧にしました。数値の単位や基準は検査機関によって少しずつ異なるため、ここでは一般的な目安として整理しています。手元の結果票と照らし合わせてみてください。

※基準値は日本人間ドック・予防医療学会、標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)、各学会ガイドライン等を参考にした一般的な目安です。検査機関により単位・基準が異なる場合があります。
数値の「3つの見方」をもう少しくわしく
項目別のくわしい見方|進み方の3段階で整理
生活習慣にかかわる数値は、多くが自覚症状のないまま、ゆっくりと段階的に進んでいくと考えられています。ここでは「①静かに進む段階 → ②症状が出始める段階 → ③影響が広がる段階」の3つに分けて整理します。

段階1:静かに進む段階(BMI・腹囲・中性脂肪・LDL・肝機能)
BMIは体重と身長から算出する体格の指標で、18.5〜25未満が目安です。高いほど生活習慣病のリスクが高まるとされ、低すぎても栄養面の注意が必要です。腹囲は内臓脂肪の蓄積を反映する目安で、男性85cm・女性90cmが基準。腹囲だけでメタボと判断するわけではなく、血圧・血糖・脂質の状態とあわせて評価されます。
中性脂肪はエネルギー源となる脂質で、食べ過ぎや運動不足で増えやすく、多すぎると動脈硬化が進みやすくなると考えられています。LDLコレステロール(いわゆる悪玉)は増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化につながりやすいとされます。肝機能(AST・ALT・γ-GTP)は、肝臓の細胞がダメージを受けると数値が上がります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくいのが特徴です。γ-GTPは飲酒量と関係しやすい項目です。
段階2:症状が出始める段階(血圧・血糖/HbA1c・尿酸)
血圧は、心臓から送り出された血液が血管に与える力です。高い状態が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化や腎臓への影響につながることがあります。多くの場合、自覚症状がないまま進みます。血糖値・HbA1cは血液中の糖の状態を示します。空腹時血糖はその時点の値、HbA1cは過去1〜2か月の平均的な状態を反映し、食事の影響を受けにくいのが特徴です。高い状態が続くと血管が傷つきやすくなると考えられています。
尿酸は、プリン体が分解されてできる物質です。高い状態が続くと結晶ができ、関節の炎症(痛風)や腎機能への影響につながることがあります。食べ過ぎ・飲酒・肥満などが関係しやすい項目です。
段階3:影響が広がる段階(腎機能:尿たんぱく・クレアチニン・eGFR)
腎臓は血液中の老廃物をろ過して尿として排出する臓器です。尿たんぱくは通常ほとんど尿に出ませんが、腎臓の働きが低下すると漏れ出てくることがあります。クレアチニンは老廃物の一つで、腎機能が下がると血液中に増えます。eGFRは腎臓がどれだけろ過できているかを示す値で、60以上が目安です。腎機能は高血圧や高血糖の影響を受けやすく、これらの段階を経て関係してくると考えられています。
判定区分(A〜E)の意味
結果票には数値とあわせて、A〜Eなどの判定区分が記載されることがあります。区分の呼び方や基準は検査機関によって異なりますが、一般的には次のように整理されます。
「要再検査」「要精密検査」と記載があった場合は、自己判断で放置せず、医療機関に相談するのが安心です。
数値が気になったときに、まずできること
多くの生活習慣にかかわる数値は、日々の習慣の積み重ねが反映されます。気になる項目があったときは、次のような点を振り返ってみるとよいでしょう。
- 食事の量・塩分・脂質・糖質のバランス
- 飲酒の量と頻度
- 運動・身体活動の習慣
- 睡眠とストレスの状態
- 前年・前々年の結果との比較
そのうえで、「要精密検査」の記載がある、複数の項目が同時に基準を外れている、前年から大きく変化している、といった場合は、医療機関への相談を検討しましょう。
よくある質問
まとめ
健康診断の数値は、①基準値と比べる、②前年と比べる、③組み合わせて見る、という3つの視点で読み解けます。1つの数値に一喜一憂するのではなく、全身の傾向と変化をつかむことが、健康づくりの第一歩です。気になる項目があれば、生活習慣を振り返りつつ、必要に応じて医療機関に相談してみてください。